犬の訓練士マニュアル 実践!警察犬トレーニング
犬の訓練士を目指す人のため、犬のことをもっと理解したいという人のために、
警察犬訓練大会で準優勝した経験がある私が解説しています。
犬の訓練士マニュアル 実践!警察犬トレーニング > 障害飛越
「中級訓練」をこなせるようになったら、次は「上級訓練」です。
いよいよ本格的に、現場で実践する動作訓練になります。
練習訓練でさえ犬を上手く動かせないようでは、本番には到底、臨めません!
いざというとき、犬が慌てないように、何度も練習を重ね、犬に自信を付けてあげてください!
障害飛越は、倒れた木や距離のある空中を「命令」で飛び越えさせる訓練です。
現場で、警察犬の歩く道は常に平坦とは限りません。
どのような場所でも人の手を借りずに、つき進まなければならない警察犬にとって「障害」を使った訓練は必要不可欠です。
「障害」は、専用の物を用意する必要はありません。(結構、お高いので(汗)
雨上がりの水たまりや、公園のベンチ、工事用のハードルや側溝の飛越え、散歩途中に見かけた障害の代用品を見つけて、いろいろな障害にチャレンジしてみましょう(笑)
訓練を始めたばかりの頃は、犬も慣れていません。
まずは、出された指示によって「飛ぶ」ことを覚えさせてください。
いきなり、高い障害を飛ばせようとすると失敗するので、犬が少しだけ「撥ねる」感覚のものから飛ばせましょう。
やり方は、長いヒモを付けて、犬と一緒に、障害に向かって走ります。
障害の前まで来たら、「トベ!」と声をかけて、犬を繋いでいるヒモを少し持ち上げます。
その時、リーダーも、犬と一緒に障害を跨ぎます。
もちろん、上手く出来たら、1回ごとに褒めてあげてください。
何度か繰り返してから、今度は犬だけを飛ばせるようにします。
スタートは犬と一緒に走りますが、障害を飛ぶとき、リーダーは障害の横をすり抜けるだけにして、犬だけを「トベ!」で飛ばせます。
それにも慣れてきたら、今度は少し距離を取ります。
スタートは一緒に、障害物が近くなったら、リーダーは走るペースを落とします。
徐々に、犬が一人で飛ぶことに慣らしてください。
そして、どんどん距離をとって・・・。
最終的には、障害から2m~3m離れたところで待機。
リーダーの指示で、犬だけが前に向け走り、障害を飛び越えるように訓練します。
そして、犬が障害を飛び超えて、すぐに「待て!」と声をかけ、犬を「立ったまま」止まらせます。(立止)
一呼吸置いてから、「招呼」で犬を呼び戻します。