犬の訓練士マニュアル 実践!警察犬トレーニング
犬の訓練士を目指す人のため、犬のことをもっと理解したいという人のために、
警察犬訓練大会で準優勝した経験がある私が解説しています。
犬の訓練士マニュアル 実践!警察犬トレーニング > 物品選別
行方不明者や犯人が、残した可能性のあるものが複数ある場合、どちらが対象者の物か、確定に不安がある場合などに、犬を使います。
スタートから、匂いをとるまでの工程は「足跡追跡」と同じです。
「物品選別」の場合は、リーダーの匂いが付いた布を1枚と、異なる人、物などの匂いが付いた布を3枚~4枚、用意します。
「脚側停座」で待機中の犬とリーダーの間、1m~2m離れた位置に一定の間隔を空けて並べて置きます。
犬に匂いをとらせ「探せ!」と、犬を前に出します。
この場合、地面の匂いを嗅ぐ必要がないので、犬の鼻を地面に下ろす必要はありません。
犬が注意深く全ての匂いをとるように布を確認している間は「探せ」と声をかけ続けます。
犬は並んだ布の中から「これだ!」と思うものを選び、それを咥えてリーダーの元へ戻ります。(要領は、中級訓練の「持来」と同じです)
リーダーの前で一時停止して座り、リーダーに布を渡して「脚側停座」に落ち着きます。
これで「物品選別」の訓練は終了です。
ちなみに犬は、自分が選んだ物品に自信がある場合、得意そうに鼻を上げてリーダーの元へ戻ります。
反対に犬に自信がない場合、どこか迷い気味に周りを気にし、選択にも時間がかかります。
そして、リーダーに助けを求めるような目を向けるのです(笑)
目的の布を持ってきた場合は、思い切り褒めてあげましょう!
※特定の匂いが付いた物品を選びとることに慣れないうちは、リーダーが側に付いて1つ1つ物品を指差し、「どれだ?」「これか?」などと声をかけ、犬に目的の物品を選ばせます。
慣れてきたら、犬だけを「選別台」に向かわせ、物品を選ばせます。
※選別台とは、長い板の台です。
布を置くために数か所、穴が開いています。