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災害救助犬の仕事

ここから具体的に、災害救助犬が行う「仕事」について見ていきましょう。

しゃがんだり倒れたり、または動けないでいる人が、災害救助犬の「保護対象」です。

保護対象を探すことは、犬にとって、かくれんぼ遊びをしている感覚に似ています。

犬は自分が、かくれんぼの鬼になった気分で探します。

健康に動いている人は、犬にとって「探す」対象にはなりません。
「隠れて」いないからです。

犬にとっての「探す」対象は、あくまで「隠れて」いる人ですから、保護対象を見つければ、それをバディに知らせ、また次の対象を探します。

現場では滅多にないことですが・・・例えば、すぐ近くに知らせるべきバディがいない場合、犬は保護対象を見つけると、すぐに救助に移ります。

と言っても、人間のように「迅速丁寧」というわけにはいきませんから、どんな形であろうと、とにかく広い場所まで保護対象を引っ張り出そうとします。

犬は、「どんな手を使っても、保護者と、その家族を助ける」ように訓練されています。
どんな手を使っても、というのが微妙に引っ掛かるところではありますが(苦笑)

ちなみに、「警察犬」と違うところは、人の歩いた痕跡や所有物など、何かしらの手掛かりがなければ探せず、匂いの元となる特定の人しか探せないのに比べ、「災害救助犬」は、空気中に漂う匂いから探すため、手掛かりなしで不特定多数の人を探せます。

また警察犬は、一緒に組むバディからの指示に従って行動を起こすのに対し、災害救助犬は、自らの判断で行動を決めることが出来ます。

これは、警察犬には出来ないことです。